『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第二章】天下、皆美の美たるを知る、これ悪なるのみ

2024年11月5日車中泊と老子,『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)

第二章

※書き下し文、現代語訳は、蜂屋 邦夫先生著『老子』 (岩波文庫)を参考にしました。

書き下し文

天下(てんか)皆美(みなび)()()るを()る、(あく)なるのみ

(みな)(ぜん)(ぜん)()るを()る、不善(ふぜん)なるのみ

(ゆえ)有無(うむ)()(しょう)じ、難易(なんい)()()り、長短(ちょうたん)()(かたち)し、高下(こうげ)()(かたむ)き、音声(おんせい)()()し、前後(ぜんご)()(したが)う。

(ここ)(もっ)聖人(せいじん)無為(むい)(こと)()り、不言(ふげん)(おし)(おこ)なう。

万物(ばんぶつ)(おこ)りて()せず、(しょう)じて(ゆう)せず、()してたのまず、(こう)()りて()らず。

()()()らず、(ここ)(もっ)()らず。

現代語訳(超訳)

世の中の人々は、みな美しいものは美しいと思っています。しかし、実はそれは醜いものにほかなりません。

みな善いものは善いと思っています。しかし、実ははそれは善くないものにほかなりません。

そこで、有ると無いとは相手があってこそ生まれ、難しいと易しいとは相手があってこそ成りたち、長いと短いとは相手があってこそ形となり、高いと低いとは相手があってこそ現われ、音階と旋律とは相手があってこそ調和し、前と後とは相手があってこそ並びあいます。  

そういうわけで、聖人は無為の立場(無為自然、両極端どちらにもつかない中立・中庸の立場)に身をおき、言葉によらない教化(ただ行動で示す)を行ないます。

聖人は、(太陽や雨のように、)万物の自生にまかせて作為を加えず、万物を生育しても所有はせず、恩沢を施しても見返りは求めず、万物の活動を成就させても、その功績に安住しません。

そもそも、安住しないから、その功績はなくなりません。

※次章:『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第三章】賢をたっとばざらば、民をして争わざらしむ

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Posted by jiyu-jin