『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第十一章】故に有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり

車中泊と老子,『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)

第十一章

※書き下し文、現代語訳は、蜂屋 邦夫先生著『老子』 (岩波文庫)を参考にしました。

書き下し文

(さん)(じゅう)ふく一轂(いっこく(とも)にす。

()()()たりて、(くるま)(よう)り。

しょくねてもっ(うつわ)つく)る。

()()()たりて、(うつわ)(よう)り。

戸牖こゆう)うがちてもっ(しつ)つく)る。

()()()たりて、(しつ)(よう)り。

(ゆえ)(ゆう)もっ()()すは、()もっ(よう)()せばなり。

現代語訳(超訳)

三十本の(※車輪の中心部と外輪部をつなぐ木の棒、スポーク)が一つのこしき(※車輪の中心の部分で車軸を通すもの)を共にします。

その空虚なところ(車軸を通す穴)にこそ、車としての働きがあります。

ねんどをこねて器をつくります。

その空虚なところ(器の空間)にこそ、器としての働きがあります。

戸や窓をうがって部屋をつくります。

その空虚なところ(部屋の中)にこそ、部屋としての働きがあります。

だから、形有るものが便利に使われるのは、空虚なところがその働きをするからです。

※次章:『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第十二章】五色は人の目をして盲せしめ、五音は人の耳をして聾せしめ、五味は人の口をして爽わしめ、馳騁田猟は人の心をして狂を発せしめ、得難きの貨は人の行ないをして妨げしむ

『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)記事一覧はこちら