『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第十九章】素を見わし樸を抱き、私を少なくし欲をすくなくす。
第十九章
※書き下し文、現代語訳は、蜂屋 邦夫先生著『老子』 (岩波文庫)を参考にしました。
書き下し文
聖を絶ち智を棄てば、民の利は百倍す。
仁を絶ち義を棄てば、民は孝慈に復す。
巧を絶ち利を棄てば、盗賊の有ること無し。
此の三者は、以て文と為すに足らず、故に属する所有ら令めん。
素を見わし樸を抱き、私を少なくし欲を寡なくす。
現代語訳(超訳)
人君がうわっつらだけの賢さや知恵をすててしまえば、人民の福利は百倍になります。
人君がうわべだけの(偽善的な)仁愛や正義をすててしまえば、人民は孝心(※子が親に対して持つ本来的な敬いの感情)や慈愛(※親が子に対して持つ本来的な慈しみの感情)に満ちた状態に戻ります。
人君が技巧や功利をすててしまえば、盗賊はいなくなります。
この三つのことは、教えの文句とするには、まだ十分ではありません。
そこで、人々に拠りどころがあるようにしましょう。
外面は生地(※染めていない白い布)のまま、
内面は樸(※切り出したままの木材)のよう、
私心をへらし、欲望を少なくする、と。
※次章:
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