『老子』:「禅」の源流、全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第三十九章】琭琭(ろくろく)たる玉の如きを欲せず、珞珞(らくらく)たる石の如からん。(THE BLUE HEARTS「ドブネズミ🐀みたいに 美しくなりたい」)

2025年1月18日車中泊と老子,『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)

第三十九章

※書き下し文、現代語訳は、蜂屋 邦夫先生著『老子』 (岩波文庫)を参考にしました。

書き下し文

(むかし)(いち)()たる(もの)は、

(てん)(いち)()もっ(きよ)く、

()(いち)()もっ(やすく、

しん(いち)()もっくすしく、

(たに)(いち)()もっ()ち、

万物(ばんぶつ)(いち)()もっしょう)じ、

こう)(おう)(いち)()もっ天下(てんか)てい)()る。

()(これ)(いた)すや、

(てん)(きよ)きこと()からば、((おそ)らくは()けんと()う。

()(やすきこと()からば、((おそ)らくはくずれんと()う。

しんくすしきこと()からば、((おそ)らくはまんと()う。

(たに)(つること()からば、((おそ)らくはきんと()う。

万物(ばんぶつ)(しょう)ずること()からば、((おそ)らくは(ほろ)びんと()う。

こう)(おう)()(こう)たること()からば、((おそ)らくはたおれんと()う。

(ゆえ)せん(もっ)もと()し、(こう)(もっ)(もとい)()す。

ここ)(もっ)こう)(おう)は、(みずか)()()(こく)()う。

(()せん(もっ)もと()()なる

(ゆえ)に、しばしば(むるを(いた)さば(ほまれ)()し。

琭琭ろくろくたるぎょく(ごと)きを(ほっ)せず、珞珞らくらくたる(いし)ごと)からん。

現代語訳(超訳)

太古の昔から、一(「道」のこと)を得たものは、

天は一(道)を得て清らかに、

地は一(道)を得て安らかに、

しん(霊妙なものの総称)は一(道)を得て霊妙に、

谷(霊妙な場所)は一(道)を得て水が満ち、

万物(生きとし生けるもの)は一(道)を得て生まれ、

王侯(万物の統治者)は一(道)を得て天下の長となりました。

そういうことであるから、

天はずっと清く明るいままであろうとすれば、裂けてしまうと思われるし、

地はずっと安らかで静かなままであろうとすれば、崩れてしまうと思われるし、

しんはずっと霊妙なままであろうとすれば、消失してしまうと思われるし、

谷はずっと満ちたままであろうとすれば、れてしまうと思われるし、

万物はずっと生まれるばかりであろうとすれば、滅びてしまうと思われるし、

王侯はずっと高貴なままであろうとすれば、つまずき倒れてしまう(その地位を失う)と思われます。

だから、高貴なものは必ずいやしいものを根本とし、高いものは必ず低いものを基本としています。

そういうわけで王侯は、自分のことを孤児独り者(配偶者を失った者)、徳の少ない者、善くない者と自称するのです。

これは賤しいものを根本としていることでしょうか、そうではないでしょうか。

だから、しばしば名誉を求めると、名誉はなくなってしまいます。

それゆえ、美しい玉のようでありたいとは願わず、つまらない石ころのようでありたいのです。

※次章:『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第四十章】天下の物は有より生じ、有は無より生ず。アインシュタイン「エネルギーと質量は互いに変換可能です。」

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