『老子』:「禅」の源流、全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第五十二章】小を見るを明といい、柔を守るを強という。

2025年2月4日車中泊と老子,『老子』全文 書き下し文と現代語訳(超訳)

第五十二章

※書き下し文、現代語訳は、蜂屋 邦夫先生著『老子』 (岩波文庫)を参考にしました。

書き下し文

天下(てんか)(はじ)()り、もっ天下(てんか)(はは)()す。

(すで)()(はは)()て、もっ()()()る。

(すで)()()()りて、()(はは)(まも)らば、()(ぼっ)するまであやうからず。

()あな(ふさ)ぎ、()(もん)()ざさば、()(うるまで(つかれず。

()あな(ひら)き、()(こと)()さば、()(うるまで(すく)われず。

(しょう)()るを(めい)い、

じゅう(まも)るをきょうう。

()(ひかり)(もち)いて、()(めい)復帰(ふっき)せば、()わざわい(のこ)()し。

)れをしゅうじょう()う。

現代語訳(超訳)

この世界(宇宙)には始めがありました(※エネルギー(=道)から物質が生じた、ビッグ・バン)。(※唯一神が世界を創造したという創造論ではない。この世界もまた無為自然の道理のうちに生じた。

それをこの世界の(この宇宙を産み出した大いなる母性、すなわち「道」)としましょう。

母(道、エネルギー)のことが分かったからには、そのであるこの世界(宇宙、物質)のことも知ることができます。

その子を知ったからには、またそのを守っていくのです。(この世界が根源的な「道」から産出されたことを認識したうえで、道のままに無為自然に生きるということ。)

そうすれば、一生、危ういことはありません。

欲望が呼び起こされる目・耳・口・鼻などの感覚器官の穴を塞ぎ、欲望が生じる心の門を閉ざせば、一生、疲弊することはありません。

逆に、欲望の穴(目・耳・口・鼻)を開き、好き放題やりたい放題に欲望の営みを行なっていけば、一生、癒されることはありません。

静かな心で物事の微細な本質を見定めることを「明」(目覚めること、悟り)といい、

柔弱じゅうじゃくさを守っていくことを「本当の強さ」といいます。

知恵(知識ではなく)の光を働かせ、「明」の状態(本質的・内在的な知恵、すなわち「道」の認識)に立ちもどれば、わが身に災いが降りかかることはありません。

このことを、恒常の道にしたがう、といいます。

※次章:『老子』:「禅」の源流、全文 書き下し文と現代語訳(超訳)【第五十三章】文綵(ぶんさい)を服し、利剣(りけん)を帯び、飲食に厭(あ)き、財貨余り有り。これを盗夸(とうか)という。道にあらざるかな。

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